硫化物分散型鉛フリー銅合金鋳物「ビワライト」(BIWALITE)
「ビワライト」の誕生
滋賀バルブ協同組合は、組合の共同開発事業として、関西大学工学部先端マテリアル工学科、滋賀県立東北部工業技術センター、当組合員の銅合金鋳物メーカーによる産・官・学連携で、鉛フリー銅合金の開発研究を行ってまいりました。
Bi(ビスマス)やSe(セレン)添加の銅合金鋳物、表面処理で鉛の溶出を抑制する方法が開発されるなか、新材料開発のコンセプトとして、稀少で高価な化学物質を使用せずコスト面を重視し、安定した鋳造性の確保、リサイクル可能な材料の開発に主眼を置きながら取り組んでまいりました。
大学における基礎研究、組合員銅合金メーカーでの鋳造実験、工業技術センターでの各種試験研究、さらには組合員バルブメーカーでの切削性能評価試験などを繰り返し行い、CAC406の特性を維持した鉛フリー銅合金鋳物の開発に成功組合ではこの新素材を「ビワライト」(BIWALITE)と命名、すでに特許を取得、商標登録も行っています。
「ビワライト」とは
CAC406の鋳造時に鉛を添加していたものを、鉛に代わりS(イオウ)を配合溶解することにより、デンドライト間の隙間にCuとZnの硫化物を形成させたもので、耐圧性、切削性、耐摩耗性、固体潤滑性が良好な銅合金鋳物。
特性と特徴
- Bi(ビスマス)やSe(セレン)などの高価で稀少な化学物質を使用しないので、コストアップが少ない。
- ザク巣の発生が少なく、鋳物の流動性が良好。
- 化学成分の量や配合比率を調整することにより、要求する強度や伸びの鋳造品の製造が可能で、用途拡大ができる。
- 一定の化学成分を前もって廃合したインゴットにより、簡単に鋳造ができ、歩留まりが良好。
- 特殊な化学成分を使用しないので、リサイクル、再溶解が可能。
- ローズ指令にも適合。
期待される用途
バルブシート(水道バルブ用)、ブッシュ、水栓金具、擦動部品(自動車部品)、ポンプ、ボイラー、各種バルブ部品など、CAC406材料からの切り替えを要する部品等への適応が期待される。
性能試験結果
(1)ビワライト組織写真
(2)機械的性質
引張強さ(N/mm2) | 伸び(%) |
200~250 | 15~28 |
(3)切削性
(4)耐圧試験
供資材 | 成分調整した鉛フリー銅合金(ビワライト)、52種類×各6種類 |
試験条件 | 水圧 3MPa、2分間保持、目視検査 |
(5)浸出試験
検査機関:夏原工業株式会社
項 目 | Cu | Pb | Cd | Zn |
数 値 | 0.0018 | 0.0001 | 検出せず | 0.001 |